よくあるご質問

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相続、遺言に関するご質問

まず、家庭裁判所に遺言検認の申立てをすることになります。申立てをすると裁判所から相続人全員に対して検認の手続通知がいきます。その後、裁判所において検認の手続きの日に、相続人の面前で初めて遺言書を開封することになります。
遺言書の内容に沿ってお手続を進めるのが、亡くなった方の最後の意思表示ですからそれが理想だと思われます。
しかしながら、ご納得のいかない場合には、相続人全員で遺産分割協議をすることもできます。

夫が遺言書を遺していた場合を除いて、法律上、遺産は妻に4分の3が、その他の4分の1は夫の兄弟姉妹が相続することになります。つまり妻にすべての遺産が相続されるわけではありません。
仮に、夫名義の不動産があったなら、遺産分割によって兄弟姉妹の同意がない限り、その不動産は4分の3が妻、4分の1が夫の兄弟姉妹の持分になることになります。

すべて妻に相続させるためには、遺言書を遺しておくことをお勧めします。
なお、兄弟姉妹に遺留分はありませんので、ご質問のケースでは、「妻が全財産を相続する」旨の夫の遺言書があれば、問題なく妻が夫の遺産すべてを相続することができます。

相続放棄はできると考えます。確かに相続が発生してから3か月以内に相続放棄をしなければならない民法上の規定はあります(民法915条1項)。
しかし、ご質問と同じような事例について、最高裁判例は、相続人において「相当な理由」がある場合は、相続債務の存在を知った時から3か月以内に相続放棄をすれば足りるとし、相続発生から3か月経過以後も相続放棄を認めました。実務上もご質問と同じケースで相続放棄を認めている場合がほとんどです。
もっとも、相続放棄を申立てる家庭裁判所に対して、上記「相当な理由」を書面できちんと説明しなければなりませんので、説明の仕方次第では必ずしも相続放棄ができるとは限らないのでご注意ください。
したがって、ご質問の事例の場合は、司法書士など専門家に依頼したほうがよいと思われます。

相続の登記手続のうち、難しいといえば戸籍などの書類収集が挙げられます。
亡くなった被相続人の戸籍等はその人の出生時から死亡に至るまで間断ない戸籍を集める必要があります。かなり古い戸籍まで必要となるので戸籍自体が消失していたり、また、本籍地が遠方であるため戸籍を郵送で請求する煩雑さや、収集するのに困難を伴うことが少なくありません。
また、被相続人の登記記録上の住所と、実際の最後の住所が異なっている場合は、同一人物であることを証明するために、過去の住民票や戸籍の附票を取り寄せる必要があります。
さらに、何代にもわたり相続の登記をしていないときは、相続人が何十人にも膨れ上がっている場合や、相続人がすでに亡くなっていて、別の手続をしなければならないなど、困難が山積し、正しい相続分の計算も難しくなります。

このように相続の登記は、簡単にできる場合もあれば、かなり難しくなる場合もあり、このように難しくなる場合は、専門家に頼んだほうが無難といえます。

父の遺産の一部をもらうことは事実上可能です。
確かに適法な遺言書が見つかれば、その遺言書の内容どおりに遺産は引き継がれます。

しかし、ご質問のケースでは、父の子である質問者の方には、遺留分が父の全遺産の4分の1ありますので、一旦は姉が父の遺産を引き継ぎますが、その後、姉に対し遺留分侵害額請求をすれば、父の遺産のうち4分の1に相当する財産は取得することができます。

なお、遺留分侵害額請求は相続の開始と請求できる贈与・遺贈があることを知った時から1年以内にしなければなりません。
また同請求は口頭でもできますが、後々紛争が生じて裁判になることも考えると、内容証明郵便等の書面で請求するべきです。

※2019年7月より「遺留分減殺請求(旧称)」は「遺留分侵害額請求」へ変更となりました。

「自筆証書遺言」は、ご本人が全文を手書きする遺言書で、日付・署名・捺印を入れさえすれば安価・簡易に作成でき、いつでも書き直しができることや、他人に内緒にできるなどメリットがあります。その反面、内容が欠けていたり、ワープロで打ったものや、誰かに代筆させて書いた遺言書などは、不備により遺言自体が無効となる可能性があり、家庭裁判所での検認手続が必要となるなどのデメリットがあります。

一方、「公正証書遺言」は、遺言の内容を口頭で公証人に伝え、公証役場で二人の証人のもと、公証人に内容を読み上げてもらい、ご本人と証人が署名・捺印をし、公証人が作成する遺言書です。遺言書の原本は公証役場で保管してもらえるので、偽造の心配や紛失の心配が無いこと、公証人が作成するため不備により無効ということがないことや、家庭裁判所の検認の必要がないことなどメリットがあります。その反面、手続が煩雑、費用がかかるなどデメリットがあります。

もし遺言書を遺すとしたらどちらの方がよいかは、上記メリットとデメリットを比較して、遺言者本人が最終的に判断するものですが、司法書士の立場からすれば、法的安定性の観点から公正証書遺言がよいと考えます。

成年後見に関するご質問

成年後見制度には、ご本人の判断能力の程度に合わせて「成年後見」「保佐」「補助」の3段階があり、それぞれ本人を保護できる範囲が異なります。

「成年後見」は精神上の障害により判断能力を欠く状況にある方を保護するために、成年後見人という保護者をつけ、その成年後見人に身上・財産上のあらゆる代理権と取消権を付与します。

「保佐」は精神上の障害により判断能力が著しく不十分な方を保護するために、保佐人という保護者をつけて、その保佐人に身上・財産上の一定の取消権を付与し、一定の法律行為の同意権と代理権を付与します。

「補助」は精神上の障害により判断能力が不十分な方を保護するために、補助人という保護者をつけて、その補助人に身上・財産上の一定限度の取消権を付与し、一定限度の法律行為の同意権と代理権を付与します。

「成年後見」「保佐」「補助」の、保護される者の違いは、事理弁識能力の程度の差ということになり、それぞれに「成年後見人」「保佐人」「補助人」という保護者をつけて、「成年後見」「保佐」「補助」という3段階のタイプに応じて、本人を保護できる範囲に違いをつけています。3段階のうちどのタイプになるかは、最終的には審判権者である家庭裁判所が判断します。なお、「成年後見」「保佐」「補助」のどれもご本人の身分上又は日常生活上の法律行為については、制限なくご本人の意思が尊重されます。

成年後見制度の申立ては誰でもできるわけではありません。
本人・配偶者・四親等内の親族など一定の方に限られています。
また、身寄りのいない独居老人などのために市区町村長も成年後見制度の申立てができるようになりました。

まず、申立人は、本人・配偶者・四親等内の親族など一定の方に限られることは前述記載(「成年後見の申立ては誰でもできるのですか?」参照)したとおりです。
次に、申立てる管轄家庭裁判所ですが、保護を受ける被後見人等の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てることになります。家庭裁判所への申立てには、申立書を作成し、収入印紙と予納郵券、そして添付書類を添付する必要があります。
申立書は、裁判所のホームページからダウンロードできます。収入印紙は、成年後見であれば申立分800円と登記嘱託分2,600円の計3,400円です。
予納郵券はそれぞれの管轄家庭裁判所により異なりますが、千葉の場合は3,350円です。
添付する書類は、事案により異なりますが、例えば、診断書、戸籍謄本、登記されていないことの証明書、財産目録、収支予定表、同意書などは最低限必要となります。被後見人の事情により収集する添付書類はかなり異なりますので一概には説明できません。
詳細は最寄りの家庭裁判所又は成年後見センター・リーガルサポート又は成年後見に詳しい司法書士などの専門家にお尋ねください。

高齢で足腰が弱くなっただけでは成年後見制度を利用することはできません。成年後見制度は「事理弁識能力が欠けた又は不十分の方」つまり、判断能力が無い又は低下した方を保護するための制度です。
したがって、高齢で足腰が弱くなっても判断能力が十分ある方には適用されません。
もっとも、高齢の方で「自分が認知症になり判断能力がなくなった時、財産管理ができなくなるかもしれない。」と不安に感じている方は少なくないと思います。
このような場合は、任意後見制度という制度がありますので、こちらをご利用ください。詳しくは司法書士にお尋ねください。

家族信託に関するご質問

当事務所においては、33万円(消費税込み)を基本報酬として、信託契約スキーム作り、契約文案作成、不動産登記申請、信託専用口座作成援助などをさせて頂いております。その他には、公証人費用、不動産登録免許税等の実費が別途かかります。

成年後見は家庭裁判所が監督機関として介しますので、裁判所への報告義務や専門職後見人への定期報酬が発生します。これに対して、家族信託は、裁判所を介さない私的な契約ですので、報告義務はなく、定期報酬がないことがメリットです。
また、成年後見は、(被後見人となる)親が認知症になってからでないとスタートできませんが、家族信託は、(委託者となる)親が認知症になる前の初期段階からでもスタートすることが出来ます。つまり、家族信託は、成年後見よりもスムーズに、(受託者となる)子らに不動産の売買や管理を含めた処分行為を任せることや、預金の運営や管理などの財産処分を生前に行うことができます。これもメリットです。

認知症の程度にもよりますが、ある程度の判断力があれば家族信託を利用することはできます。家族信託は委託者と受託者との間で行う契約から始まります。契約である以上、各々がその内容を理解し判断する能力が必要です。すでに介護施設などに入所していて要介護の認定を受けている場合や、物忘れが進んで軽い認知症が見られる場合であっても、一概に信託契約を締結することが出来ないとまでは言えません。
実際は、家族信託の相談を受ける専門家が、ご本人との面談・やりとりを重ねて、その都度判断能力の有無を慎重に見極めることになります。その結果、認知症のために家族信託契約を締結することが出来ないということはあります。高齢者の方は、今は元気でも入院などをすると急速に判断能力が低下することがよくありますので、元気なうちから早めに家族信託の契約をしておくことが大切となります。

不動産登記、会社登記に関するご質問

土地・家・マンションなどの不動産を売買したときに、所有権という自分の権利を明らかにするために、所有権の保存登記・移転登記などをします。
また、銀行などから住宅ローン等お金を借りる場合にも、抵当権・根抵当権の設定登記をすることになります。
この登記をする時に、「登録免許税」という税金がかかります。この税金は収入印紙を登記の申請書に貼付し、法務局に提出する方法により納付します。普通、登記をするときは、司法書士に依頼をするのが一般的なので、税金を納めている感覚は無いのですが、司法書士の費用の中に登録免許税という項目が必ずあります。

また、登録免許税も税金なので軽減措置(減税)がある場合があります。
例えば、居住用の住宅を購入するときに、住宅用家屋証明書を添付することにより減税されます。また、土地を売買により取得した場合にも減税されます。
さらに、東日本大震災により被災した地域又は被災者には大幅な減税措置があります。
詳しくは司法書士又は法務局にお尋ねください。

結論としては、会社設立に詳しい専門家であれば、行政書士でも司法書士でも構わないと思います。
ただ、会社設立手続は、大まかに定款作成→公証人認証→法務局へ設立登記、という手順を踏むことから、行政書士に頼んだ場合には、最後の設立登記は依頼者本人が申請しなければならないことになります。
よって、すべての手続を代理できる司法書士に頼んだ方が煩雑なくできると思われます。
なお、費用は一般的に行政書士に頼んだほうが安価にできると思われます。

確かに、住宅を購入されるときの司法書士費用は一般的に30万~60万円ほどするので高いと思われても仕方ありません。しかし、この金額のすべてが司法書士の報酬とはならないのです。

実はこの費用のうち通常3分の2以上は登録免許税という国税として支払う分ですので、実際の司法書士の報酬はせいぜい8~12万円くらいだと思います。以下、具体例でご説明いたします。 [例] 中古の住宅を購入しました。銀行の住宅ローンを利用して3,000万円を借り入れました。
なお、当該住宅(土地・建物)の評価額の合計は2,000万円です。

上記例の場合、登録免許税は所有権移転登記分で40万円、抵当権設定登記分で12万円となります。
そのほか実費として評価閲覧・謄本取得費があわせて5,000円くらいです。
司法書士報酬は登記手続報酬・立会費用を含めて9万円くらいですので、合計59万5,000円(消費税別)となります。

このように、司法書士費用のうち、そのほとんどが登録免許税や実費で占めていることになります。なお、登録免許税は、租税特別措置法、その他の時限立法などにより減税されることもあります。
減税条件を満たしている場合には、司法書士は、当然に減税措置を行いますのでご安心ください。

必ずしもすぐに登記をしなければならないというものではありませんが、いつかはしないといけません。

今仮にそのままにしておいても「当該不動産を売買する」や「抵当権を設定する」などの処分をする場合には、その前提として住所の変更登記をしなくてはいけないからです。
したがって、先に登記をしておくか、後で登記をするかの違いだけで、お手続自体はしていただくこととなります。

司法書士に頼まなくてももちろんできます。
例えば、弁護士に頼まなくてもご本人で訴訟を起こすことはできますし、税理士に頼まなくても確定申告ができることと同じです。

ただ、司法書士も弁護士も税理士もそれぞれ法的手続の専門家ですから、このような法律専門家が携わる手続は、専門的で難しいことが多いといえます。
それぞれの専門家に頼むと、当然に費用が掛かるというデメリットはありますが、専門家に頼んだほうが、安全・確実・迅速などメリットも大きいといえます。

抵当権の登記の抹消手続ですが、不動産登記手続の中では比較的簡単ですので、知り合いの司法書士もしくは最寄りの法務局に教えてもらえば個人の方でもできるお手続といえます。

会社が有限会社か株式会社かで異なります。

まず、有限会社の場合は、今まで取締役等の役員の変更もなく、また会社定款で任期の定めもない場合など、登記すべき事項に変更がなければ、商業登記を申請する必要はありません。
なお、有限会社は、会社法が施行された平成18年5月1日以後は、法的に株式会社(特例有限会社)となっています。(なお、特例有限会社では、後述する12年以上商業登記をしなくても休眠会社扱いされる規定は適用されないので、この点についても問題はありません)

次に、株式会社の場合は、会社法施行前の株式会社では、すべて取締役の任期が2年だったので、取締役が重任したなど登記すべき事項に変更が生じている場合がほとんどです。
したがって、商業登記をする必要があります。
また12年以上商業登記をしていないと休眠会社扱いされて、法的に解散扱いになってしまうこともあるので、できるだけ早めに司法書士に相談して商業登記をしてください。

過払金・債務整理に関するご質問

債務整理には、広義の意味での債務整理と、狭義の意味での債務整理とがあります。

まず、狭義の意味での債務整理についてですが、通常これを任意整理といいます。任意整理は、裁判所を利用することなく、債権者と話し合い、合意により毎月の返済額、返済期間などの返済方法について和解する手続です(多くの場合3年~5年くらいの期間内に分割で返済するというような返済方法になります。原則利息はつきません)。

次に、広義の意味での債務整理についてですが、前述の任意整理を含め、過払金返還請求、特定調停、個人再生、自己破産などの総称をいい、債務が過去にあった、または現在ある人が裁判上または裁判外のお手続によって、当該債務を整理又は清算する手続全般のことをいいます。

われわれ司法書士が通常説明する場合に使用する「債務整理」とは、広義の意味での債務整理がほとんどです。

対象となるクレジット会社がどこかにもよりますが、キャッシングの取引が数年以上継続していた場合で、かつ、取引開始日が平成15年以前であった場合は、過払金が発生している可能性が高いです。
逆に、ショッピングのご利用が多い場合や、取引開始日が平成18年以降である場合は、過払金は発生していない可能性の方が大きいです。
いずれにしても、安易に判断することは難しいので、様々な事情を組み合わせて考える必要があります。
経験豊富な司法書士などの専門家であれば予測は可能ですので、ご相談をおすすめいたします。

任意整理にはメリットとデメリットがあります。

メリットとしては、債権者からの請求が一旦止まること、一般的に将来利息がなくなるので月々の返済額が減額すること及び総返済額が減少することがあります。更に、場合によっては債務がゼロとなって、逆に過払金が返ってくる場合があることなど多々あります。

一方デメリットがあることも確かです。大きく2つあります。
1つは、信用情報機関に事故情報としてネガティブな情報が登録されること、つまりブラックリストに登録されることがあります。このブラックリストに一旦登録されると、債務を完済してから通常5年間は記録が残るといわれています。
したがって、その間、クレジットカードを作れなかったり、各種ローンを組めなかったりします。
デメリットの2つ目は、当たり前のことですが司法書士への費用が掛かることです。
弊所であれば1社当たり35,000円掛かります。

これら2つのデメリットについてもう少し詳しく考察してみたいと思います。

まず1つ目のブラックリストですが、確かに、クレジットカードを使えなくなることは不便です。
しかし、考えてみてください。今までクレジットカードを多用していたことにより返済ができなくなったのですから、むしろクレジットカードとは縁を切るきっかけになったと考えた方がよいのではないでしょうか。今後はクレジットカードなしの現金だけの生活になるのです。家計管理がしっかりできるようになり、すっきりするのではないでしょうか。
また、これから住宅ローンを組む人や個人事業主でお借入れを反復的に繰り返す予定の人は別ですが、各種ローンを組めなくなるということは、もう借金をしなくて済むということにもなるのではないでしょうか。借金に懲りて債務整理をすることを検討したわけですから、むしろ各種ローンを組めなくなくなること、つまり借金ができなくなることを好機ととらえて前向きに考えてみてください。

次に2つ目のデメリットとして司法書士費用が掛かることについてですが、費用対効果で考えてみてください。
例えば、任意整理をしないで100万円を年利18%で月3万円返済していったときの1年間の支出額で考えてみましょう。利息だけで1年間ざっと18万円はかかります。返済は元金よりも利息を先に充当する決まりとなっていますから、月々3万円返済して1年間で36万円返済したとしても、元金充当分はその半分の18万円です。そうすると1年後の残債務額は82万円となります。
一方、司法書士に任意整理を依頼した場合はどうでしょうか。司法書士と債権者との協議によって元金100万円を将来利息なしで月々3万円、34回分割払いの和解が調ったことにします。1年間で36万円まるまる元金が減少するので、1年後の残債務額は64万円になります。任意整理をした場合と、しない場合との差額は18万円にもなります。
したがって司法書士費用を別途支払ったとしても、任意整理を依頼した方が、ずっと楽に返済できることになります。

任意整理をするメリットがデメリットを上回ることがお分かりになると思います。

任意整理とは、債務調査の結果、債務が残る場合に、その返済方法について債権者と協議し、債務返済和解をすることにより、返済をリスタートするお手続をいいます。
一方、過払金返還請求とは、債務調査の結果、債務はすでになく、逆に利息を払いすぎていた場合に、その払いすぎた利息(過払利息)を、元債権者に返還請求するお手続をいいます。

債務者(依頼者)が司法書士事務所を訪れた時に、債権者に対して債務が残っている場合であっても、利息制限法の利率に従って引き直し計算をすると、債務がすでになくなっていて、逆に利息の過払になっていることが多々あります。この場合は、当初は任意整理として受任した事件であっても、翻って過払金返還請求になることになります。なお、引き直し計算をして過払になっていることが分かっただけでは債務がなくなったことにはなりません。債権者ときちんと協議し和解を締結しなければ、債務はなくなりませんので注意が必要です。

このような場合、債権者ときちんと協議し和解するためには、専門家である司法書士に依頼することが最も確実といえます。

まず、消費者金融やクレジット信販会社などの債権者(以下単に「債権者」という)からの取り立てを止めるために、司法書士が受任通知書を債権者宛てに通知します。
それ以後債権者から直接債務者(依頼者)に連絡が来ることはありません。その後、債権者から司法書士宛てに債務者(依頼者)と債権者間の取引履歴書が届きますので、その内容を司法書士が確認します。
もし、利息制限法を超過する利息でお取引がなされていたのであれば、すぐに引き直し計算をして、法定内の正しい債務額に減額します。その後、司法書士が債権者と電話等による話し合いをして、今後の返済方法について協議をします。大抵、将来利息なし、24回~60回分割払いでまとまります。返済方法の協議がまとまったら、債権者と債務者の代理人である司法書士との間で和解書を取り交わします。
その後、債務者(依頼者)が、その和解書どおりの分割返済を再び始めます。ここで債務整理のお手続は終了です。
任意整理をしたことにより、どれくらいの効果があったかを大雑把にご説明すると、債務整理前と後では、月々の返済額は2倍近く減額されることになると思われます。
また将来利息がなくなる分、債務整理前と後では、総返済額も2倍近く減額される場合がほとんどです。

任意整理をすると、その任意整理をした対象のクレジット会社のカードは使えなくなるのが通常です。なぜなら、債務者(依頼者)の信用が低下するので、以後取引による危険を回避するためです。また、任意整理をするためには、いったん債務額を確定する必要があるため、カードを使えなくするのです。(一般的に、司法書士から受任通知を受領した債権者は、その債務者との間のカード契約を受任通知受領時点で一方的に解約し、信用情報機関に当該債務者のネガティブな情報を登録します。(ブラックリスト))

一方、任意整理をしなかったクレジット会社のカードについては、そのまま使用できるのが通常です。なぜなら、クレジット会社は、膨大な数の顧客との間でクレジットカード契約をしているので、ある一人の顧客のネガティブな信用情報を能動的にチェックすることは不可能だからです。もっとも、ほとんどのクレジット会社が信用情報を共有し、常に閲覧できる状態にあることには変わりないので、何らかの理由で任意整理をしなかったクレジット会社がその債務者のネガティブな信用情報を閲覧した場合には、当該任意整理をしなかったクレジット会社との間でも、以後キャッシングができなかったり、キャッシング枠が減少したり、またはカードが使えなくなる場合もあります。
その「何らかの理由」とは、例えば、クレジットカードの有効期限が到来間近となり、クレジット会社の方でカード更新のお手続をする際に、たまたま顧客のネガティブな信用情報を閲覧した場合があります。また、任意整理をしなかったクレジット会社が、任意整理をした他のクレジット会社の保証会社となっている場合には、顧客のネガティブな情報が任意整理をしなかったクレジット会社にも当然流れるので、債務者(依頼者)の信用が低下することから、任意整理をしなかったクレジット会社のカードも使用できなくなる場合があります。

いずれにしても、信用情報にネガティブな情報が流れた後、クレジットカードが使えるか使えなくなるかは、クレジット会社側の自由裁量ですので、債務者(依頼者)側から断定することは難しいのです。

個人再生手続とは、借金の総額のうち裁判所の手続を通じて決められた一定の金額(例えば5分の1)を分割で支払えば残りの金額の支払を免除してもらえる制度をいいます。
このお手続は破産手続と違い、住宅ローンが残っていても、当該住宅(自宅)を守ることができるというのが大きな特色の一つです。
また、破産手続ではギャンブルや浪費があると免責が不許可になる可能性がありますが、個人再生手続の場合、浪費があってもお手続利用の支障にはなりません。
なお、個人再生手続は、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがありますが、詳細は司法書士など専門家にお尋ねください。

もちろんできます。弊所からご家族の方に連絡することはありません。
また、消費者金融やクレジット信販会社などの債権者(以下単に「債権者」という)は、債務者(依頼者)との連絡が法的にできなくなることから、債権者からご家族に連絡することもありません。信用情報機関に登録されたからといって家族や第三者に知られることは全くありません。
なぜなら、個人の信用情報ですから、債権者もこれらの情報を漏えいしてはいけない法律上の義務があるのです。
したがって、ご家族に内緒で任意整理をすることは原則できます。

だだし、例外的に、ご家族に任意整理をしたことを話さなければならない場合があります。
例えば、家計や銀行預金の管理を妻に任せている夫が任意整理をする場合、任意整理をしたクレジットカード会社からの銀行引き落としがなくなるので、当然妻に知られてしまいます。
また、クレジットカードを家族会員で作っている場合も、家族全員のクレジットカードを対象に任意整理をしなければなりませんので、当然ご家族に知られてしまいます。さらに、任意整理から個人再生・自己破産手続に移行した場合は、ご家族の方にお話ししていただかなければなりません。
なぜなら、裁判所に提出する書類がご家族分にも及ぶことや、家計全体の状況を裁判所に報告しなければならないからです。

これら例外的に、ご家族の協力を得て任意整理をしなければならないことがあり得ることはご承知おきください。

デメリットは全くないといえます。
消費者金融(元債権)に司法書士から受任通知を出しても信用情報に登録されることはありません。
家族や知人や会社に知られることもありません。元債権者から電話などの連絡が来ることもありません。着手金などの司法書士費用が当初発生することもありません(弊所の場合)。
返還請求や訴訟提起など煩わしい手続はすべて司法書士がやってくれます。
依頼者は、過払金が戻ってくるまでの間、ほんの少し月日を待っていただくだけです。

自己破産による不利益といえば、まず、破産情報が信用情報機関に登録されることです。(ブラックリスト)
また、自己破産をすれば、当然、マイホームは処分されてしまいます。
そして、破産者の本籍地の市区町村役場に破産者である旨が裁判所から通知されて破産者名簿に記載されます。これにより、市区町村発行の身分証明書には破産の記録が記載されることになります。(しかし、社会生活の中で市区町村発行の身分証明書の提出を求められることは非常に少ないので、実際に問題になることはほとんどないといえます)
さらに、自己破産をするとさまざまな資格制限があります。たとえば、弁護士・司法書士・税理士などの資格を失ったり、会社の役員の資格を失ったりします。
また、警備員や保険の外交員や証券外交員など、他人の財産を預かり管理する業務を一定の資格の下に行っている場合には、自己破産によってその業務を禁止される場合があります。
なお、破産管財人が選任された場合、破産者は裁判所の許可を得なければ転居や旅行をすることができなかったり、郵便物が破産管財人に配達されることになります。

ただし、これらさまざまな制限は、免責決定と同時に復権するので、自己破産をしたからといって永久に制限が加えられるわけではありません。

最近、問題になっているのが、ヤミ金業者から破産者へのDMによる勧誘です。これは、自己破産をすると破産者が官報に掲載されるからです。

原則として、車は引揚げられてしまいます。
ただ、当該車の時価査定額がゼロである場合は、ローン会社としても、引揚げ費用だけの負担となることは避けたいので、車を引揚げない場合もあります。

また、車検証の所有者名義がローン会社ではなく債務者名義である場合には引揚げられません。
当該車を担保にしていないからです。

なお、車ローン会社に対して任意整理をしなくても、任意整理をした他の債権者が車ローン会社の保証会社となっていた場合は、車の引揚げ要請があるので注意が必要です。

過去に自己破産をしたことがあるとしても、もう一度自己破産をすることは可能です。
ただし、過去の破産手続きが終わった後7年間は再度の免責は原則として認められません。
とはいえ、裁判所の裁量で免責が再度認められる可能性もありますので、免責後7年未満に再度の免責を得たい場合は、経験豊富な司法書士などの専門家にご相談ください。

第一に、過払金返還請求とは、消費者金融やクレジット信販会社などとの、これまでのキャッシング取引履歴を、利息制限法を適用し引き直し計算すると、逆に利息を払いすぎている場合(過払い)があります。この過払金の存在を法的に主張し返してくれと請求することをいいます。
なお、単に返してくれと請求するだけでは過払金は返ってきません。近時は訴訟を起こさないとまともな過払金は返ってこなくなっています。

第二に、個人再生とは、民事再生手続の個人版です。総債務のうちの5分の1など一定額を3年から5年の分割で返済するという返済方法を裁判所から認めてもらい、そのとおりに返済して残りの債務は免除してもらうという手続です。また、住宅ローンの特則を利用することにより、住宅を手放すことなく債務を整理できます。自己破産と異なり住宅を守ることができるのも、このお手続の特色です。

第三に、自己破産とは、債務者が支払不能の場合に、裁判所に対して、自ら破産・免責許可の申立てを行うお手続です。免責を得れば、返済する義務はなくなります。所有する財産は原則として処分されますが、生活に必要な一定の財産や現金はそのまま所有できるものもありますので、全てを没収されるわけではありません。このお手続は債務者自身の再出発の機会を目的としています。
なお、破産しても選挙権がなくなるとか、住民票や戸籍に記載されるということはありません。

すでに債務がないことが分かっていて、単に過払金返還請求をするだけの場合は、ブラックリストに載ることはありません。
一方、当初は債務が残っていたが、引き直し計算をしたら債務がすでになくなっていて、逆に過払になっていた場合は、次のように少し複雑な経緯をたどります。

まず、司法書士が債権者に受任通知を出し債権者側がそれを受領した時点で、一旦信用情報にはネガティブな情報が登録されます。(ブラックリスト)
次に、引き直し計算をし、過払金があった場合、過払金返還請求をします。その後過払金返還和解を締結した時点で、当該ブラックリストは抹消されます。
つまり、一旦はブラックリストに載りますが、その後に抹消されるという経緯をたどるのです。

結果的にブラックリストに載らないので信用は低下しないのですが、短時間とはいえ、一旦はブラックリストに載ることになってしまいます。もっとも、クレジット信販会社によって、各々取り扱いは異なっていて、引き直し計算をすれば過払状態になっていることがクレジット信販会社側ですでに分かっている場合には、当初からブラックリストには載せない取扱いとしている会社もあるようです。